【高市総理 “存立危機事態”発言】立憲・岡田克也氏の質問と総理の答弁をノーカットで再検証(2025年11月7日 衆議院予算委員会)|TBS NEWS DIG
↑これ最初から正確に聞いたら
→立憲民主党 岡田議員:今の答弁では…(12;20)
→(14;12)
「先ほど有事という言葉がございました。それはいろいろな形がありましょう。例えば、台湾を完全に中国北京政府の支配下に置くようなことのためにどういう手段を使うか。それは単なるシーレーンの封鎖であるかもしれないし、武力行使であるかもしれないし、それから偽情報、サイバープロパガンダであるかもしれないし、それはいろいろなケースが考えられると思いますよ。
だけれども、それが戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます。」
→もっと明確に答えてもらえないと(17:15)
「最悪の事態の想定をしておかなければならない。それほどいわゆる台湾有事というのは深刻な状況に至っていると思っています。実際に発生した場合にどういう事が起こっていくのか、まあそいうシュミレーションをしていけば、最悪の事態というものは、これは想定しておかないといけないと言うことでございます」「即これを存立危機自体だと認定して、日本が武力行使を行うという事ではございません」
この話の流れで、正論だけど何が悪いの?
台湾危機は日本に直撃する「第一列島線」が破られるから
戦後日本は今日まで、事実上米国の支配下にあります。
国防を他国に委ねるとはそういう事ですが、価値観が共有できる部分は多い。
しかし「第一列島線」が中国に破られると、紛争(戦争?)を経てやがて中国共産党の支配下になります。
中国は、建国以来の国家目標(共産党の正統性の核心)として、2049年建国100年までに統一完了としている。
中国の目的
「台湾有事は日本有事」ー認識すべき理由はここにある。
地理・軍事・経済の現実から見てもかなり妥当な前提ですが、日本としては 「起こる前提」で備えるしかない状況です。
台湾有事は“起こり得る確率が極めて高い” (=発生条件がほぼ揃ってきている)
① 中国の国家戦略の中心が「台湾統一」
これは習近平の個人的野心ではなく、建国以来の国家目標(共産党の正統性の核心)。
共産党の内部文書でも「2049年建国100年までに統一完了」と明記されている。
特に習近平は「任期に成果が必要」な立場で焦っている。
② 米国は“防衛するが、米軍だけでは戦力はギリギリ”=自衛隊の参戦
・台湾海峡の地理的優位は中国側
・サイバー攻撃で台湾を麻痺させられる
・艦船数で中国が逆転
➡ もし中国が短期電撃戦で勝負を仕掛ければ、米国は防衛に遅れる可能性もある。
③ 中国の増大する軍事費=台湾有事
国際的推計は?
■ ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)推計/約61兆円(日本の5倍)
■ 米国防総省レポート/実態は公式の2倍以上
■ 学術研究者の一般見解/実際は70兆〜80兆円規模
台湾で武力衝突が起きた場合に、日本の安全保障と経済にどんな影響が出るのかを整理します。
④第一列島線とは…
中国が台湾有事を想定し、米軍の侵入を防ぐ自国防衛の最低ライン。
本来はアメリカ合衆国が中国・ロシア(旧ソ連)の封じ込め政策において設定された戦略ライン
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現在は、逆に中国が突破すべき“最重要戦略目標”になっている。
1990年代以降、中国が政策転換:「近海防御」→「遠海防衛」へシフト(※ 2015年中国国防白書)
狙いは2つ:
第一列島線を突破して太平洋に出る
米軍の介入能力を削ぐ(A2/AD戦略)
A2/ADとは:
アメリカ軍を「近づけない・入らせない」戦略
ミサイル・潜水艦・空軍の整備はすべてこれに直結。
昔は「封じ込めライン」米国
今は「突破ライン」中国
●どこを指すのか(地理的範囲)
日本本土 → 沖縄 → 台湾 → フィリピン → ボルネオ → マレー半島を結ぶ弧状のライン。
理由:台湾を取られると第一列島線が崩壊→中国が太平洋へ
- 台湾海峡で戦闘 → 米軍は介入可能性大
- 米軍が出れば:沖縄・与那国・石垣・嘉手納・横須賀は確実に巻き込まれる
- 中国は米軍基地叩きにミサイルを撃つ→ 日本の領土が直接攻撃対象になる
台湾有事は“対岸の火事”ではない理由
1.地理的にはほぼ「隣の島」
- 与那国島〜台湾:およそ110km(晴れていれば肉眼で見える距離)
- 沖縄本島・宮古・石垣など南西諸島には、自衛隊・在日米軍基地が集中
- 日本政府は「台湾海峡の平和と安定は、日本と国際社会の安全と繁栄に不可欠」と国家安全保障戦略に明記
2.日米同盟と台湾の位置づけ
- 日米安保条約は「日本の安全」と「極東の平和と安全」を守る枠組み
- 政府解釈では、この「極東」に台湾も含まれるとされています
- 台湾有事の際、米軍は日本の基地(嘉手納・普天間・横須賀・佐世保など)から出撃する可能性が高い
安全保障面で何が起き得るのか
1.日本の基地がミサイルの標的になり得る
中国軍から見れば、台湾を支援する米軍の出撃拠点は「日本の基地」です。
戦争計画を立てる側からすれば、
- 嘉手納基地(沖縄)
- 普天間飛行場
- 横須賀基地(空母打撃群の母港)
- 三沢・岩国などの航空基地
2.南西諸島の住民避難と防衛
- 日本政府は、与那国・石垣・宮古など南西諸島の住民約10万人超を、数日以内に九州などへ避難させる計画を公表済み
- 同時に、南西諸島には地対艦ミサイル部隊・防空ミサイル部隊が順次配備されている
3.サイバー攻撃と情報戦
軍事衝突だけでなく、サイバー空間と情報空間も戦場になります。
- 電力・通信・金融システムへのサイバー攻撃
- SNSや動画サイトを通じた偽情報・陰謀論の拡散
- 「日米同盟不要論」や「日本は関係ない」という空気を作る世論工作
ミサイルだけでなく、スマホのタイムラインも戦場になるーーこれが現代の有事のリアルです。
経済へのインパクト:半導体と海上輸送
1.TSMC依存の半導体ショック
- 台湾のTSMCは、世界の最先端ロジック半導体の多くを生産している
- 台湾有事で生産・輸出が止まれば、自動車・家電・産業機械・スマホなど、世界中の産業が直撃
- 一部の試算では、世界企業の売上が年間数百兆円規模で失われる可能性が指摘されている
2.海上輸送・エネルギー価格への影響
- 日本向けの原油・LNG・穀物・製品の多くは、南シナ海〜台湾周辺の海域を通過
- 台湾海峡やバシー海峡が危険海域になれば、船舶は大きく迂回を強いられる
- 結果として、海運コストの上昇・燃料価格の高騰・物流の遅延がほぼ確実
ウクライナ戦争で小麦やガス価格が跳ね上がったように、台湾有事では「アジアの物流とエネルギー」が揺れ、日本の物価や企業活動にも大きなショックが及びます。
日本国内で起き得る具体的な変化
1.安全保障面
- 南西諸島の住民避難と、自衛隊・米軍の部隊展開
- ミサイル発射に伴うJアラート(国民保護情報)の発出
- 一部空港・港湾の軍事利用優先による民間便・物流の制限
2.経済・社会面
- 株価の急落や為替の乱高下
- 半導体・電子部品不足による生産調整や一時休業
- エネルギー・食料価格の上昇
- 中国からの経済制裁(輸入規制・日本企業への圧力など)
日本は何を準備し始めているのか
1.防衛力と同盟の強化
- 国家安全保障戦略・防衛力整備計画(2022)で、防衛費の大幅増額と長射程ミサイル(反撃能力)の保有を決定
- 南西諸島への自衛隊部隊・ミサイル配備、基地整備の加速
- 日米同盟の実動訓練(共同演習)や、日米豪・日米韓など多国間連携の強化
2.経済安全保障とサプライチェーン見直し
- 経済安全保障推進法により、重要物資・重要インフラ・重要技術への外国依存を減らす方向へシフト
- 半導体・電池・通信などで、国内生産や信頼できる国との分散体制を構築中
- 「安いから中国・台湾に任せる」から、「安全と安定を優先した分散」へと考え方が変わり始めている
何を意識すべきか
- 台湾有事は総理の「存立危機事態」発言のよし悪しではなく、日本・価値観の存続、仕事・生活・物価に直結するテーマだと理解しておく事が必要です。
- メディアやSNS上の極端な情報(陰謀論・デマ・個人の見解)に振り回されず、一次情報や信頼できる情報源を確認する習慣を持つ
- 「台湾の話」と「日本の南西諸島・在日米軍基地・サイバー攻撃」の話がセットであることを頭に入れておく
- 中国に関する情報リテラシー向上
- 期待薄だがメディアの“お花畑解説”からの卒業
