世界が警戒する「3つの独裁体制」 〜習近平・プーチン・金正恩と3国からのリスク〜
日本の安全保障環境は、かつてないほど複雑な状況になっていて、左派のつまらないイデオロギー論争に付き合っている暇は無い!
「中国の脅威」が多く語られがちですが、実際には中国 × ロシア × 北朝鮮という“3つの独裁体制”が連動しながら、地政学上も日本を取り囲む構造になっています。
この3国とも、内部では深刻な問題を抱えながら、外に攻撃性を向けることで政権を維持する仕組みを共通して持っています。
まずは、3人の国家元首それぞれの「支配スタイル」を押さえておくことが重要です。
3人の国家元首の特徴「話す独裁」「話せない独裁」「演出する独裁」
1.プーチン:話せる独裁者(言葉+情報操作+恐怖)
ロシアのプーチンは、「言葉で支配するタイプ」の独裁者です。
- 長時間の記者会見やインタビューを平然とこなす
- 歴史や軍事、地政学を滑らかに語る
- ロシア人の自尊心をくすぐる物語づくりが巧み
- KGB出身で、心理戦・情報戦に長けている
発言の内容が正しいかどうかは別として、「言葉そのものを武器にしている独裁者」であることは間違いありません。
国民に対しては「強いロシア」のストーリーを語り、海外に対しては「恐れられる存在」としてのイメージを演出することで、権力を維持しています。
2.習近平:話せない独裁者(台本+監視+粛清)
中国の習近平は、プーチンとは対照的に、「言葉に弱い独裁者」です。
- 演説はほぼすべて「党の理論チームが書いた台本」を読むだけ
- フリーな記者会見や即興の質疑応答をほとんど行わない
- 「中華民族の偉大な復興」など抽象語が多く、個人の言葉に聞こえない
- 話し方は単調(下手)で、カリスマ性よりも“地位と恐怖”で威厳を保っている
中国では、トップの一言がそのまま
- 市場(株価・不動産)
- 外交(対米・対日・対EU)
- 軍事(台湾・南シナ海)
に直結します。
そのため、個人的な感情や即興の発言は「国家リスク」と見なされる構造になっています。
結果として、習近平は「自分の言葉ではなく党の文書」を読む存在に徹し、言葉ではなく、監視システム・粛清・子飼いの担当や党組織そのものを使って支配する独裁者になっています。
3.金正恩:演出型独裁者(恐怖+神格化)
北朝鮮の金正恩は、「神話と演出」で国民を支配するタイプです。
- 鼓舞や怒りなど、感情を全面に出した演説を行う
- 国営メディアの中では「神格化」された存在として描かれる
- 反逆や失敗は即処刑という恐怖政治
- 国民から外部情報を遮断し、“唯一の情報源”として君臨する
国家の実態は経済的に半ば崩壊していますが、「恐怖」と「金一族の神聖化されたイメージ」の組み合わせで王朝型独裁を維持しているのが金正恩の特徴です。
3国が抱える「内部崩壊リスク」
3つの独裁国家はいずれも、一見すると強そうに見えますが、
中身を見れば「かなり危うい状態」にあるという共通点があります。
1.中国:巨大国家だが、経済・人口・統治に深刻な問題
- 不動産バブル崩壊:GDPの約3割を占めていた不動産が崩れ、恒大・碧桂園など大手が実質破綻
- 若者失業率20〜45%:統計自体の公表をやめたほど深刻
- 急速な少子高齢化:出生率1.0未満で、長期的に人口が激減するコース
- 医療・年金の持続性への不安:都市と農村の格差も大きい
- 監視社会化:カメラや社会信用スコアで国民を徹底管理
- 党内・軍の粛清:ロケット軍など軍中枢まで大量処分が行われ、統治の安定性に疑問符
- 実質戦争で勝った事が無い:日中戦争は「今の台湾(国民軍)と日本軍の戦い」共産党は戦争に参加していない事実
外から見ると「軍事的・経済的な大国」に見えますが、内部ではすでに“逆回転”が始まっている巨大国家と言えます。明確に人民が自国を全く信用していない、類まれな建前大国。
2.ロシア:戦争と人口減に苦しむ衰退大国
日本人が忘れてはいけないのは、第二次世界大戦末期にソ連(現ロシア)が日ソ中立条約を一方的に破り、日本に侵攻してきたという歴史です。
この「条約を平気で破る体質」は、今のロシアにもそのまま受け継がれています。
- ウクライナ侵略によって、経済制裁と戦費負担で国家財政が疲弊
- 経済構造は依然として原油・ガスなど資源依存で脆弱
- 若者の徴兵逃れ・国外脱出が増加
- 人口減少と低出生率が続く
- 国際社会からは「約束を守らない危険な国家」と見なされている
ロシアもまた、内側はかなりボロボロだが、外側に軍事行動を拡大することで体制を維持している国です。国内で“プーチン大帝人気”は高い。
3.北朝鮮:国家崩壊寸前の核保有国
- 経済規模は日本の一地方自治体レベルと言われるほど小さい
- 国民の相当数が慢性的な栄養不足
- 国際制裁で貿易が極端に制限されている
- 恐怖政治と粛清で体制を維持
- しかし核・ミサイル戦力だけは優先的に開発し続けている
「ほぼ破綻国家」なのに核を持っているという、世界でも最悪級に危険な存在です。
3国が国際社会からどう見られているか
| 国 | 国際的な評価 | 主な理由 |
|---|---|---|
| 中国 | 「信用できない大国」 | 香港や南シナ海での約束破り、統計の不透明さ、軍拡と威圧外交など |
| ロシア | 「危険な制裁対象国家」 | ウクライナ侵略、条約破りの歴史、エネルギーを使った恫喝外交 |
| 北朝鮮 | 「世界最悪レベルの独裁国家」 | 核・ミサイル・拉致問題・人権侵害など、ほぼ全方位で国際社会から糾弾 |
世界の基本認識としては、3国とも
「できれば関わりたくない」「信用できない」という評価でほぼ一致しています。
中国・ロシア・北朝鮮の連携と、日本への脅威
3国はそれぞれ独自の事情を抱えつつも、基本は「反米・反日」という文脈で連携を深めつつあるのが現実です。
1.中国 × ロシアの連携
- 日本周辺での共同軍事パトロール
- エネルギー・軍事技術・サイバー分野での協力
- 米国と同盟諸国(日本・NATO)への牽制
特に、日本周辺の海空での共同行動は、「中国とロシアが同時に動けば、日本の防衛線は格段に厳しくなる」という現実を突きつけています。
2.中国 × 北朝鮮の関係
- 北朝鮮に対する経済支援・燃料供給
- 北朝鮮を「緩衝地帯」として利用し、在韓米軍と日本を牽制
- ミサイル・サイバー分野などでの暗黙の協力
中国は表向き「安定」を語りつつ、実質的に北朝鮮という“暴走しやすい駒”を持っているとも言えます。
3.ロシア × 北朝鮮の接近
- ウクライナ戦争での参戦、弾薬・ミサイル供給
- 技術協力や軍事顧問団のやり取り
- 中国抜きでの軍事協力の強化
ロシアと北朝鮮は、お互いに「国際社会から孤立している者同士」として、武器・技術を融通し合う関係が強まっています。
4.3国同時連携という最悪シナリオ
最も警戒すべきは、3国が別々ではなく、同じタイミングで日本周辺に圧力をかけてくるケースです。
- 中国:台湾・尖閣・南西諸島に圧力
- ロシア:北方領土・北海道周辺・日本海での示威行動
- 北朝鮮:日本海へのミサイル発射や核実験で揺さぶり
こうした「三方向同時の圧力」は、日本にとって非常に厳しい安全保障環境を生み出します。
3つの独裁体制の「弱さ」と「危険さ」を同時に見る
中国・ロシア・北朝鮮の3カ国には、共通する特徴があります。
- 国内が崩れている:経済・人口・社会がそれぞれ深刻な問題を抱えている
- 国民の不満を外に向ける:対外強硬姿勢で「敵」を作り、国内をまとめようとする
- 法律や国際合意より“力”を優先:条約や国際ルールを平気で破る
- 日本を地政学的な弱点として見ている:米国と切り離したい対象として日本を見ている
特に、
- 中国:経済と人口構造の逆回転
- ロシア:戦争と制裁による疲弊
- 北朝鮮:ほぼ破綻国家なのに核を持つという異常さ
これらの「内部の弱さ」が進めば進むほど、「外への攻撃性」が強くなるリスクがあります。
補足|中国・ロシア・北朝鮮の「軍の規模」比較
ここでは、3カ国のおおよその軍事規模を「人員」と「国防費」で比較してみます。数字は各種公開データ・推計値にもとづく目安です。
| 項目 | 中国 | ロシア | 北朝鮮 |
|---|---|---|---|
| 軍・準軍事の人員規模 (2025年推計) | 約253万人 (現役+準軍事) | 約170万人 (現役+準軍事) | 約147万人 (現役+準軍事) |
| 国防費(2024年推計) | 約3,100億ドル前後 ※SIPRI推計ベース | 約1,490億ドル前後 ※SIPRI推計ベース | 数十億ドル規模と推定 GDP比は世界でも極めて高い水準 |
| 特徴的なポイント | 人員・国防費ともに米国に次ぐ規模。海空軍・ミサイル戦力を重点的に拡大。 | 規模は中国より小さいが、核戦力と長距離兵器に重心。ウクライナ戦で消耗中。 | 経済規模は小さいが、人口比の軍事動員は異常に高く、核・ミサイルを最優先で整備。 |
規模だけを見ると「中国が圧倒的」「ロシア・北朝鮮も決して小さくない」と分かりますが、
重要なのは、いずれも国内に大きな問題を抱え、その不安定さを外への軍事行動で補おうとする傾向があるという点です。
日本は、中国だけに目を向けるのではなく、ロシアと北朝鮮を含む“三つの独裁体制ブロック”全体を、一体として冷静に警戒する必要がある──それが、現在の安全保障環境のリアルな姿と言えます。
