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日本維新の会、藤田共同代表の発注金額は妥当!

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これメディアやジャーナリスト等で、ビジネスの仕組みを知らない的外れな素人記事やコメントが多いので…
現役のデザイナー目線で対象金額に対して検証しました。
ちなみに私は特定政党の党員でも支持者でもありません。

2025年11月4日(火) 藤田文武共同代表 記者会見

この内容に関してですが

なぜ検証するのか

ビジネスに関して余りに的外れな取材やコメントや散見され、デザイン業やクリエイティブ業、印刷などの関連産業への理解が乏しい為(わざとかも知れないが?)。
デザイン業を経営する立場で、デザイン・印刷・折込費の実務コストについて、発注金額の妥当性を検証しました。

前提条件と対象

  • 期間:2017年〜の発注累計 仮30回として
  • 想定総額:2,000万円
  • 内訳想定:チラシ+リーフレットを8年間で40回程実施、延べ550万部(本人談)。
  • 折込前提、大阪12区(寝屋川・大東・四條畷)、有権者約33.4万人
  • 業界でも価格が安い通販印刷(例:プリントパック等)は完全データ前提と、料金は基本前払い。
    ※完全データとは、カラー印刷用に作成されたデータ(写真の解像度・埋め込み、文字のアウトライン、ヌリ足し、トンボ)素人には作れない。
    また、2024年以前に汎用デザインパックは実質なく、この会社で基本的にデザインは出来ない(私もココと京都のグラフィックさんはよく使っております)

費用仮試算(デザイン費を除く)

・基礎価格は著者の実務レンジと、市場一般価格帯(通販印刷+大阪府標準ポスティング単価3円/部)を参照
・部数7万部から13万部発行(印刷~折込配布)中間を取って、ポスティング無しもあるとして、10万部/30回として仮計算
※各回印刷物の仕様と、ポスティングのトータル枚数が分かればリアルな金額が出ますが、トータル金額と回数(延べ)で業界従業者ならある程度分かる(2000万円/40回=50万円/1回、10万部として1枚約5円)。

もうこの時点で、下記計算は必要無いように思うがあえて…

項目仕様単価/回根拠
印刷費(B4)10万部・4C・コート紙想定292,000円通販印刷のボリューム帯参考(完全データ前提)※プリントパックより、中3日納期
ポスティング費10万部 × 3円300,000円大阪府標準単価レンジ
小計(デザイン費除く)592,000円/回(税別)292,000 + 300,000
合計(30回)17,760,000円(税別)592,000 × 30回=17,760,000円

※冊子(中綴・無線)はさらに印刷費は高くなる。
ちなみにA4サイズ32ページだと、印刷費(紙・インク・印刷・製品)で7万部-約233万円(税抜)になる。

ここに含まれていないもの

  • デイレクション費・デザイン費・DTP(コピーライティング、オペレーション、印刷用データ作成・校正管理費(ディレクション、原稿整理、色校、入稿対応)
    どの業界にも専門性と、出来上がりからはわからない項数とチェックが多々ある。
  • 撮影・イラスト・地図トレース・イメージデータ購入等
  • 物流・保管・予備(破損・増刷)
  • 特殊対応(ポスターの耐候紙・耐光インク・PP・梱包包装・運搬費 など)

結果:2,000万円は妥当域か

デザイン費を除いた印刷+ポスティング費だけで約1,776万円(30回)
この「トータル発注約2,000万円」は、利益還元どころか、通常の制作会社ではデザイン・校正・進行管理を十分に賄えないレベル。

さらに冊子案件が含まれるなら、総額は容易に2,000万円近くに達するように思う。

制作現場のリアル(私の経験)

  • 約10年前、支援者からの紹介で元国会議員の同様案件を担当した事がある。
    公選法があり内容固定物(ポスター・名刺・簡易ビラ等)以外は専門では無いため危険回避で受注しませんでした。
  • 議員個人PRは、予算不足→制作側の時間単価はマイナス、立替払いもあり、利益も薄いので、人的関係が無いなら受けるデザイン・印刷会社は少ないのが現状。
    また支払い条件も悪く(分割払い)、薄利で高額の印刷費等の前払いが有り不安があった。

反論とデザイン業界への理解(FAQ)

Q. なぜ身内の会社に発注したのか?
A. デザインやディレクション(一連のプロジェクトを纏め総括する)は、その業界をよく知り理解している人物でないと合理的でない。
デザイン性だけでは無く、グレードを維持して政策をビジュアルと言葉で有権者に分かりやすく説明する。ココが販促効果の肝になるからです。
また、産業では業界毎に特色があり、クリエイティブ側にも専門性や独自の言語を理解する必要がある、政治知識の無いクリエイターに一から説明するのは至難の業です。
纏め役としての広告代理店等では、業種ごとの担当が居るのはその為ですが、中小企業や個人が探すのはかなり大変で高額になる。
Q. 相見積については?
A. 今回計算した印刷費や折込代等の単純な相見積は相場として出ますが、ディレクションやデザイン費は依頼会社やその能力によって差が大きい。
印刷会社に依頼すると、このデザイン費は印刷単価に上乗せされるか消えている場合もある。
また、印刷の原価(版代・紙代・インク代)を出せとの意見もありましたが、これ規模等によっても粗利が異なるし業界破壊につながります。

Q. 通販印刷は激安?

A. ハイその通り完全データが前提だがプリントパックはかなり安い!
入稿〜刷了までのDTP・校正・色管理・再入稿は誰がやる? そこは人件費です。
ちなみにデザイン業は、今でも働き方改革の真逆です。
Q. デザインはテンプレで十分?
A. プリントパックの汎用テンプレは最近できました。
2017年当時からの連続案件に当てはめるのは時代錯誤
政治広報は内容の正確性・法令適合・表現調整の専門性が必要でテンプレートは使えない。
Q. 2,000万円は高すぎ?
A. 試算ではデザイン費を除外してもトータルで1,800万円ほど(8年で30回とした平均)
冊子や特殊印刷を入れるとさらに増
かなり少なく見積もっても妥当域以下とみるのが現場感覚。
Q. ポスターは普通紙ではだめ?
A. 屋外掲示は耐候紙(ユポ等)+耐光インクが基本で割高
通常紙では色褪せ・雨・破損で持たない。

結論と提言(ストレートに)

「2,000万円は妥当」むしろ安価
この金額では、年数と回数から考えても、発注元の会社に一般的な利益が残るとは到底思えない。

デザインのみならず、専門職やものづくりの手間や道具にかかるコスト、伝統産業の労力が蔑ろにされている一方、各産業内容を余り理解していない担当(素人)の紹介ビジネスは35%のフィーが発生する世界が平然とある。

原稿づくりからデザイン~印刷や出版に精通している媒体メディアも、普通に部数で計算すればこれ解るはずに思いますが?
専門部署では社員の給与もタダでは無いので、ちゃんと試算してね。
クリエイティブ関連やものづくり系は、自社スタッフの人件費を価格に反映しないため給与が上げれない。

また合法なのに拡大解釈、長年の友情までも外野が踏みにじる社会が良いとは思わない。