10年ぐらい前の寒い日
飲んだ帰りに乗ったタクシーでのお話
同世代のシャキッとした運転手さんだったが
道を余りご存知ない。
「最近ですかタクシーは?」
「ハイわかります?
…へぇー自営の方ですか…」
そこから何事かやりとりがあって
「実は私も会社の経営をしておりまして」
から話が、はじまりました。
何でも、会社を長年経営していたが
法律が変わったり、人が辞めたりで…
徐々に仕事が減っていき
最後の1年は、収入がほぼゼロになった
途中で転業も考えたけど、意地で走ってしまって
「…で倒産、破産、女房も子供も家も失いました」
「再就職も全然ダメで
自分ひとりでさえ食えん
情けなくて、もう死ぬしかないと」
夜にふらふらと、淀川沿いを彷徨ったが
橋から川にも飛び込めず…
橋を渡りきって、また歩き出して…
「ふっと空を見たら、月の光と
遠くにボワッ~と幸福という字が
見えましたんや」
「その文字を見たとたんに
何でやろネ?
突然涙が溢れて…
それから半無意識に
その場所に向かって歩いて行きました」
「幸福交通、タクシー会社
このタクシー会社の電飾看板でした」
前まで行くと運転手募集の貼紙があり
遅い時間だったけど、運よく居あわせた社長が
私の話を熱心に聞いてくれて…
「意地もプライドも無くなって
正直に全部お話ししました」
「よっしゃ!わかった」
その日の内に住まい(寮?)と
後日に2種免許の段取りなどもしてもらって
こうやって今ここで生きています🙂↕️
時々、社長から励ましもあって
「ぼちぼち、
また事業したくなったんとちゃうか?」
「いいえ、まだまだです」
今はいろんな思いを込めて、そう答えてます。
寒空の後は桜の季節
“しあわせ”が見つかると良いですネ🥰